陸上(長距離)で股関節の付け根が痛い

梅雨入りしたけどあまり雨も降らず、朝晩の気温が低くて過ごしやすい鹿児島です( ^ω^ )

朝が例年になく走りやすいのでこのままの感じが続いてくれたら良いですね!

どうせとんでもない暑さが押し寄せて来るのでしょうが…(゚ω゚)

さて、本題です。

今回は陸上をされている大学生患者さん(Yさん)の記事です。

大学で陸上(長距離)をされてますが、股関節の付け根の痛みで走れない日々が続いているようです。

概要を書きます。

大学2年生の女性。

左右の股関節付け根に痛みが交互に出る。

家族歴なし。

先天的素因なし。

中学から陸上を始め、高校でも陸上部。

専門は長距離。

ベストは3000m9分30秒。

高校三年生の頃から股関節付け根に痛みが出始め、まともに練習が出来ない日々が続いている。

大学でも長距離(5000m)を選択したが股関節の痛みでまともに走れず今日に至る。

まだ5000mのタイムを測ることも出来ないくらい痛みで悩まされている。

走ってる途中で痛み出し走ることが出来なくなる。

股関節の付け根に問題を抱えてる陸上選手は非常に多いです。

特に長距離をしている選手に多いことが特徴的です。

(全てのスポーツで股関節痛に悩まされている選手は多いです。)

股関節は球関節となっているため可動域が広く、力の大きい筋肉と小さい筋肉が入り混じっています。

また、股関節は振り子のように使う特徴もあるため自分が思ってる以上に可動してしまうことがあります。

自分が思ってる以上に股関節が可動してしまった際、その動きに筋肉が耐えられなくなり痛めたりします。

また、大小様々な筋肉が混在するため筋肉の付け方のバランスが非常に難しく、ケアも難しいです。

Yさんは現在走る練習が出来ない状態です。

治ったと思って練習をしても2、3日後には反対の股関節に痛みが出たり元の股関節に痛みが出たりするそうです。

走る練習が出来ないので筋トレ・エアロバイク・水泳などのリハビリをされています。

触診してまず感じたのは全身的に脂肪が多いと感じました。

こればかりは痛みで走れないので脂肪が増えることは仕方ありません。

筋肉の一番の特徴は右太もも前側が異常に発達していました。

エアロバイクでの漕ぎ方が悪いということが一発でわかりました。

聞いてみると、漕ぐ際右で踏み込んでばかりいるそうです。

これは非常にバッドな漕ぎ方なので、すぐにその漕ぎ方をすることをやめるように伝えました。

長距離で大事な筋肉は太ももの裏側と臀部です。

もちろんその他の筋肉も大事ですが、この二つの筋肉が走る行為の際最も使われる筋肉ということを考えるとこの筋肉が重要だと言わざるをえません。

大腿前部の筋肉は太ももを上げる際必要になる筋肉です。

大腿を挙げるとそれだけストライドが伸び一歩一歩の距離が伸びます。

(大腿前部(大腿四頭筋)だけでなく、腸腰筋という腰から股関節前部に付く筋肉も脚を上げる際重要な筋肉です。)

しかし、太ももを挙げ過ぎると筋肉が無駄に酸素を使ってしまいますのでその加減が難しいところです。

太ももの挙げる角度の違いはトップアスリートで見比べるとすぐにわかります。

↓長距離選手

↓短距離選手

短距離選手は股関節を90度前方に挙げますが、長距離選手は45度程度です。

↓参考程度に10000m

スローにして観るとわかりますが、蹴り出しの爆発力が違います。

踵がお尻に当たるくらいの勢いで蹴り出してます。

とはいえ、フルマラソンの選手とのフォームの差はそこまでありません。

このフォームの真似をするとわかりますが、太もも裏と臀筋とふくらはぎをかなり使います。

股関節を振り子の要領で前に出すので、太ももの前側の筋肉は補助的作用で大丈夫なのです。

しかし、大腿前部の筋肉も大事ですし太ももを挙げる練習などもしなければならないので一概に大腿前部の筋肉がいらないということではありませんのでご注意を。

あと一つ注意点として、今ストライドの話を書きましたが、これは決してストライドを伸ばせば良いという単純な話ではありません。

歩幅が広くなるとそれだけ筋肉や関節(特に腰)への負担が強くなります。

ストライドを伸ばす前にやるべきトレーニングがあるので一般ランナーはストライドよりピッチを上げて走ることをしましょう。

このストライドの話が後々Yさんと繋がりますので覚えておいてください。

Yさんの主訴である「股関節付け根の痛み」は内転筋の問題が多いです。

当院にも半数以上の方が付け根の問題で来院されます。

付け根の痛みに関しては内転筋を適切にほぐし、適切にリハビリすることで痛みが激減します。

この「適切」ということが何より大事ですので、素人判断でしないことをお勧めします。

それではYさんがなぜ股関節の付け根に痛みが出たのかを解説していきます。

内転筋を触るとそこまで強い張りやコリはありませんでした。

もちろん全くないわけではないのですが、慢性的に付け根に痛みが出るとは考えにくかったです。

主因は腹筋の縮みと腰周辺の筋肉の弱りだと感じました。

高校三年生からまともに練習が出来ない日々が続いているため、本人も気付かないうちに筋肉が落ちたと考えられます。

その事実に気付かないまま以前通りの練習を再開してしまい、その負荷に身体がついていかず以前から痛めている股関節付け根に痛みが出ると考えました。

腹筋と腰回りの筋肉はいわゆる「体幹」です。

体幹は着地の際身体がブレないようにすることと、着地の際の衝撃を緩和してくれる役目を持っています。

Yさんは座るとすぐ猫背になっていました。

猫背は体幹が弱い方がなりやすい姿勢です。

Yさんも話していましたが、走ってる途中で痛みが出るということもヒントになります。

股関節を痛めると少し動かしただけでも痛みが出ます。

Yさんの場合、様々な動きや負荷かけたりして股関節の状態を確認しましたが痛みは出ませんでした。

これが何を意味するかと言いますと、フォームが悪くて股関節周辺の筋肉にストレスがかかり股関節付け根に痛みが生じているのです。

普段のリハビリを自己流でしているようでした。

また、コーチもリハビリのアドバイスしているようですが、コーチは「走る」専門家ですので「治療」の専門家に見てもらった方が絶対良いです。

一般の人よりは身体のことも知ってるでしょうが、それでも治療となると限界があります。

多分Yさんもその必要性を感じて当院に来院されたのだと思います。

少し話がそれますが、Yさんから聞いた話を書きます。

部活内で疲労骨折をしている人がかなり多いのだそうです。

疲労骨折に関しては過去に詳しく書いた記事があるのでそちらを載せます。

スポーツ選手の疲労骨折について

長い記事ですがここまで深く書かれている内容は他でもあまり見ないので是非ご覧ください。

Yさんの大学でもまだまだ栄養に関して知識不足のようです。

中学・高校の頃からしっかりと栄養に関する正確な知識を身に付ける必要があります。

また、栄養に関しても表面上の栄養を理解しているだけでなく、分子レベルで理解している専門家の話を聴いたりするなどして知識を深めた方が絶対に良いです。

陸上だけが人生ではありません。

陸上生活の先も見据えた生活を心掛けて頂けたらと思います。

話を元に戻します。

Yさんの股関節付け根の痛みの原因はわかったと思います。

では、今後どのように治療を進めていけば良いのかを書きます。

まずはしっかり治すことです。

高校3年生から大学2年生になっても治っていないのであれば一度しっかり治すことを真剣に考えなければなりません。

期間がどれだけかかるかはわかりません。

僕の予想では2ヶ月あれば痛みがほぼ無い状態になると考えます。

施術をするだけでなく、股関節付け根のリハビリをする必要があります。

リハビリというよりトレーニングと言った方が正しいかもしれません。

正確に鍛えたい部位を鍛え、尚且つ縮んでる筋肉を伸ばしながら鍛えます。

筋トレだけでなく、フォームの矯正をする必要もあるはずです。

自分が思ってるフォームで走っているかどうかを動画などで確認します。

ドリルなどで一つ一つの動作確認を行い、適切な動きと筋肉をつけていきます。

ジョグスピードもかなり抑えて頂きます。

3000mを9:30ものスピードを持っているのであれば普段のジョグスピードは4:30/kmくらいと考えられます。

それを6:00/km以下のジョグスピードにします。

状態によっては7:00/kmくらいになるかもしれませんが、それは状態を見ながらになります。

一歩一歩意識すべき部位を確認しながら走ります。

ダラダラ走ることだけは避けなければなりません。

腰が落ちないように、腕の振りや足の出方・着地など細かく走ることを考えながら走ります。

上記しました、ストライドの話になります。

Yさんはエアロバイクを漕いでいて、右太ももの前側をよく使って漕いでいた為そこの筋肉が発達していると書きました。

太ももの前側が発達したことで太ももを挙げて走り過ぎていることが考えられます。

しかも、右だけ。

この左右の筋肉のアンバランスが結局どこかに歪みとして現れているのが股関節痛の可能性があります。

まずはフォームを見直し自分の身体をなるべく左右均等にする必要があります。

そして少しずつ距離を伸ばしていき、一日20kmほど走れるようになったら次のフェーズに移行します。

これまではほぼリハビリの練習内容でしたが、走る衝撃を吸収出来る身体作りをしていきます。

坂道でのドリルを行い、正確にフォームを作り直します。

坂道で練習することで、走りながら筋肉がつきます。

この練習をしながら補助的に不足している部分の筋肉を重りを使って鍛えたりもします。

フォームと筋肉がしっかりしてきたら最後のフェーズに移行します。

最後のフェーズでスピードを戻す為にスピードトレーニングをします。

スピード練習の内容は人それぞれなのでここでは書きません(というか書けません)。

この三つの順番をしっかり守ることで完全復帰が見えてきます。

痛み自体は最初の練習の時点で無くなりますが、二番目のフェーズを飛び越えてスピード練習をしたりして怪我を再発する人がほとんどです。

もしくは、最初のフェーズを通り越していきなりスピード練習をする人もいます。

これは素人だけの話だけでなく、プロの選手にも多くみられることです。

なぜプロでも同じ過ちをするのかといいますと、プロはプロでも「走る」プロだからです。

身体を治すプロじゃないのでわかるはずがありません。

それでも自分で本を読んだりインターネットで調べたりして何とか治そうとされる方がいらっしゃいますが、残念ながら限界があります。

そこはサクッと「治す」プロに任せた方が確実に良いでしょう。

もちろん、自分で治せたらそれに越したことはありませんけどね。

この治療の順番は遠回りのような気がするかもしれません。

しかし、治すには通らなければならない道です。

Yさんも2年近く痛みが引かずまともに走ることが出来ていないストレスに比べたらなんてことないでしょう。

いち早く競技に戻るためにも「急がば回れ」で治療に専念しましょう( ^ω^ )

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